星降る場所を求めて

らせん星雲NGC7293を初撮影!PixInsight WBPP設定で苦戦した1日

9月12日(金)
「月がのぼってくるまで勝負だ!」と決めて、この日も観測地へ出動しました。

空を見上げると、透明感のある夜空が広がり、天の川がはっきりと浮かび上がっていました。肉眼でも帯のように見えるその姿に思わず足を止め、しばらくシャッターを切って撮影。カメラ越しに広がる光の川は、何度見ても心を奪われます。

この瞬間を写真に収めつつ、今日の主役はあくまで望遠鏡。機材は EdgeHD800 を準備し、月が昇るまでの限られた時間をフルに活かすべく、観測をスタートしました。
風もほとんどなく、まさに天体撮影にうってつけのコンディション。狙うは、かねてから撮りたいと思っていた星雲たちです。

Nikon z7ii 24mm iso3200 f/4 30s

まずはNGC6302(バグ星雲/バタフライ星雲)

最初のターゲットは蠍座にある NGC6302(バグ星雲/バタフライ星雲)
じっくり撮影を…と思ったのですが、意外と雲が多く、わずかにしか撮影できませんでした。残念ですが次回へ持ち越しです。


そして本命、NGC7293(らせん星雲)

次に狙ったのは水瓶座の有名な惑星状星雲 NGC7293(らせん星雲)
観望会では何度か導入して見せたことはありましたが、実はじっくり撮影するのは今回が初めて。

NGC7293(らせん星雲) EdgeHD800 ASI6200MCPro Gain100 0℃ APS-C HOO 21x300s PixInsight1.9.x

300秒1枚でも、まるで巨大な「目」のように写り、少し不気味でありながら迫力があります。
どこか エヴァンゲリオンを連想してしまうビジュアルです。中心には白色矮星があるのもロマンを感じますw


WBPPでのトラブルと解決方法

さて、今回の撮影データ(300s×21枚)を PixInsight の WBPP で処理したところ、なんとレジストレーションがうまくいかず下の結果になった。途中のファイルを調べたところ、原因は Star Alignment で星が検出できていなかった ことでした。

久々に出来上がったファイルを見て落胆

試行錯誤の末、WBPPの Light メニュー → Image Registration の設定を以下に変更すると解決!

  • Maximum stars : 20
  • Noise reduction : 1

サンプルの星が少ない場合、この設定が有効なようです。
ここにたどり着くまで半日かかってしまいましたが、解決できてスッキリしました。


その他、気になるPixInsight 1.9xの挙動

ところで、PixInsightを 1.9系にアップデートしてから、WBPPで処理した長時間露光画像に違和感があります。これは、個人的な意見です。

特に 明るい星の周囲にハロが強調されてしまう傾向があり、世界中の作例を見ても同じような「ほや〜」とした星像が増えている印象です。Normalizationの処理に起因している気がしますが、まだ明確な解決策は見つかっていません。

もう少し研究を続けてみたいと思います。


まとめ

今回初めて本格的に撮影した らせん星雲 NGC7293 は、想像以上に存在感のある姿でした。中心に潜む白色矮星や、ぐるりと取り巻くガスの模様はやはり迫力があり、300秒1枚でも圧倒的な印象を残します。次はもう少し露出を伸ばして、淡く広がる外縁部や周囲に点在する小さな銀河まで写し込みたいところです。

一方で、PixInsightの設定にはいまだに大苦戦・・・今回のようにWBPPの星検出に手間取ったり、バージョン1.9系で顕著になった星のハロ問題など、課題は山積みです。それでも、こうした試行錯誤の中から「なるほど!」と気づきを得られる瞬間があるのは、やはり楽しいものです。むしろこの過程こそが、天体写真の醍醐味なのかもしれません。

次回は天候に恵まれ、バタフライ星雲(NGC6302)をじっくりと撮影したいと思います。あの複雑で美しい構造を自分の機材でしっかり記録できたら、きっと大きな達成感になるはずです。

そして、このブログを読んでくださっている皆さんも、ぜひ一度「らせん星雲」を狙ってみてください。小さな望遠鏡でも存在感のある姿を楽しめますし、処理の工夫次第でどんどん新しい発見がある対象です。同じ対象でも人によって表現がまったく違うのが天体写真の面白さ。もしPixInsightの設定や処理で悩んでいる方がいれば、ぜひコメントで意見交換しましょう。

これからも一歩ずつ、試行錯誤を重ねながら、自分なりの宇宙の姿を記録していきたいと思います。

コメント

タイトルとURLをコピーしました