星降る場所を求めて

4 Global Options

― WBPP全体の“動き方”を決める基本ルール ―
先に結論を書くと、多くの方は初期設定のままで問題ありません。
ただし、仕組みを理解しておくことで「なぜそう動くのか」が見えてきます。

Global Options は、WBPPの中でも
一見すると地味ですが、実はとても重要な項目です。

ここでは、

  • 画像の向き
  • マスターファイルの扱い
  • 出力や保存の挙動

など、WBPP全体の動作ルール をまとめて設定します。

個々のタブ(Bias / Darks / Flats …)の設定とは異なり、
Global Options は

「WBPPがどう振る舞うか」
を決める場所だと考えると理解しやすくなります。

Global Options は「原則ルール」

WBPPの処理は非常に多くの工程を含みますが、そのすべてに共通して影響するのが Global Options です。

そのため、

  • 途中で頻繁に変更する
  • よく分からないまま触る

という使い方はあまりおすすめできません。

▶ 基本はデフォルト設定を理解したうえで使う
これが Global Options の正しい付き合い方です。

FITS orientation(画像の向き)

設定項目

  • Global Pref
  • top-down
  • bottom-up

これは何を決めているのか

この項目は、FITS画像の上下方向をどう解釈するか を指定します。

天体カメラや撮影ソフトによっては、

  • 上下反転した状態で保存される
  • ソフト側で自動補正される

といった違いがあります。


Global Pref とは

Global Pref は、PixInsight全体のグローバル設定に従う、という意味です。

通常はこちらを選んでおけば問題ありません。

top-down / bottom-up を使う場面

これらは、

  • 特定のカメラ
  • 特定のワークフロー

で向きがおかしくなる場合の 調整用 です。

「画像が上下逆に見える」と感じたときに初めて確認すれば十分な項目です。

💡 補足
多くのCMOSカメラでは Global Pref(初期設定) のままで問題ありません。
画像が上下反転して見える場合のみ、ここを変更して挙動を確認します。

Compact GUI

設定内容

  • チェックあり:UIをコンパクト表示
  • チェックなし:通常表示

画面の見た目だけに関わる項目です。

  • ノートPC
  • 画面が狭い環境

では便利ですが、処理結果には一切影響しません。

Detect masters from path

何をする項目か

この項目を有効にすると、指定したパス内にある 既存のマスターファイル をWBPPが自動的に検出します。

こんなときに便利

  • 以前作成した Master Bias / Dark / Flat を再利用したい
  • 同じ条件で何度も処理する

再処理の効率を上げたい場合に役立ちます。

Generate rejection maps

何が生成されるか

画像統合時に使われたリジェクションマップ(除外ピクセル情報) を保存します。

使いどころ

  • ゴミや人工衛星がどう除去されたか確認したい
  • 統合結果を検証したい

といった 検証用途 に有効です。

通常は ON のままで問題ありません。

Preserve white balance

この項目の役割

カラーカメラ画像において、撮影時のホワイトバランス情報を保持します。

WBPP後のカラーバランスに影響するため、意図的に色を管理したい場合 に意味を持つ項目です。

迷う場合は、
👉 デフォルトのままでOK です。

Save groups on exit

何が保存されるか

WBPP終了時に、

  • グループ分け情報
  • 設定状態

を保存します。

次回WBPPを開いたときに前回の状態を引き継げる ため、基本的には ON を推奨します。

Smart naming override

ファイル名の制御

WBPPが自動生成するファイル名のルールを上書きするための設定です。

通常はWBPPの命名規則で十分なため、特別な理由がなければ触らなくてOK な項目です。

Purge cache

キャッシュの削除

WBPPが内部で保持しているキャッシュを削除します。

  • 動作が不安定になったとき
  • 過去の設定が残っている気がするとき

に使う トラブルシュート用 のボタンです。

Global Options は、

  • 画質を直接左右する
  • パラメータを追い込む

ための場所ではありません。

むしろ、

WBPP全体が“どう動くか”を決める環境設定

という位置づけです。

多くの場合は、

  • デフォルト設定
  • Global Pref
  • 保存系は ON

この状態で問題なく運用できます。

まとめ

Global Options は
「WBPPをどういう思想で動かすか」を決める場所です。
個別の結果を変えるというより、処理の安定性・再現性・管理のしやすさ に効いてきます。

まずは「何が書いてあるのか」「何を決めているのか」を理解するだけで十分。

✅ 基本的にON推奨

  • Detect masters from path
  • Generate rejection maps
  • Save groups on exit

⚠️ 状況によりON/OFF

  • Preserve white balance
  • Smart naming override

必要になったときに、このページへ戻って確認できるようにしておきましょう。

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