星降る場所を求めて

11 Lights

概要

Lights タブは、WBPPの中でも
👉 「最終画像の品質を決定づける心臓部」
と言っていい重要なセクションです。

ここでは、

  • キャリブレーション後のライトフレームに対して
  • 重み付け・位置合わせ・正規化・スタック
    といった一連の処理を、どこまで自動で・どの精度で行うかを指定します。

言い換えると、

「どのフレームを、どれくらい信頼して、どう揃えて、どう合成するか」

を決める場所です。

左ペイン:Light frames(フレーム構成の確認)

左側には、WBPPに読み込まれたライトフレームが階層構造で表示されます。

表示の基準は以下の通りです。

  • Binning
  • Filter
  • Exposure time
  • Grouping Keywords(例:DAY)

この構造を見るだけで、

  • 日別に正しく分かれているか
  • 露光時間やビニングが混ざっていないか

を一目で確認できます。

👉 ここでのチェックは、後工程トラブルの予防としてとても重要です。

Calibration exposure tolerance

Calibration exposure tolerance は、

ライトとダーク(またはフラットダーク)の
露光時間の「許容誤差」

を指定する項目です。

  • 例:2 → ±2% までを同一露光として扱う
  • 通常は 2〜5 程度で問題ありません

露光時間が厳密に一致していない環境では、この値が小さすぎると「ダークが使われない」原因になります。

Linear Defects Correction(通常は未使用)

この項目は、

  • 行・列方向に出る
  • 固定パターンの線状欠陥

を補正するための機能です。

ただし、

  • 冷却CMOS
  • 一般的な天体撮影

では ほぼ使いません

Subframe Weighting

ここで 各ライトフレームの「評価方法」 を決めます。

チェックを入れることで、画質の良いフレームほど スタック時に強く反映 されます。

Weights プルダウンの各項目の意味

● PSF Signal Weight(デフォルト・推奨)

最も一般的で、WBPPの標準設定です。

  • 星の PSF(点像分布関数) を解析
  • 星の鋭さ・広がり・信号強度を総合評価
  • 「シャープで、信号が強いフレーム」が高評価

👉
✔ シーイング差がある
✔ 枚数が多い
✔ 安定した結果が欲しい

● PSF SNR

PSF 解析を行い、**星像を基準にした SNR(信号対雑音比)**で重み付けします。

  • PSF Signal Weight よりも
    👉 SNR 重視
  • 微光星雲など、信号量の差を強く反映したい場合に有効


シーイングより「写っている量」を優先するため、
星像がやや甘いフレームも高評価される場合があります。

● PSF Scale SNR

PSF SNR に スケール(星のサイズ)要素を組み合わせた方式。

  • 星が小さく締まっている
  • かつ SNR も高い

こうしたフレームを特に高く評価します。

👉
✔ 高解像度を狙う
✔ 星像をとにかく重視したい

という場合に向いた方式です。

● SNR Estimate

画像全体の SNR 推定値を用いた重み付けです。

  • PSF(星像)解析は行わない
  • 背景ノイズと信号量から統計的に評価

👉
✔ 星が少ない対象
✔ ナローバンドで星が弱い場合

などで使われることがありますが、
一般的なRGB撮影では使用頻度は低めです。

● Weighting Formula

ユーザーが数式を指定して重みを定義する上級者向け設定です。

  • FWHM
  • eccentricity
  • SNR
  • noise

注意

WBPP の Subframe Weighting は、詳細設定をユーザーが変更できない仕様になっています。
これは内部で SubframeSelector 相当の解析を自動実行し、安定した重み付け結果を得るためです。
細かなパラメータ調整を行いたい場合は、WBPP を使わず SubframeSelector を手動で使用する必要があります。

Image Registration

ここでは、

すべてのライトフレームを
基準フレームに対して正確に揃える

処理を行います。

  • 通常は ON
  • 「Reuse last reference frames」は
    • 同じデータを何度も再処理する場合のみ使用

初回処理では チェックなし が基本です。

Image Registration 詳細ページへ

Local Normalization

Local Normalization(LN) は、

  • 空の明るさの違い
  • 薄雲・光害・月明かりの影響

などをフレームごとに補正する機能です。

  • 複数夜・複数条件で撮影したデータでは 非常に効果的
  • 通常は ON推奨
  • 「Reuse last reference frames」は
    • 同じデータを何度も再処理する場合のみ使用

「Interactive mode」は
👉 トラブル時以外は OFF で問題ありません。

Local Normalization 詳細ページへ

Image Integration

ここで、いよいよ 最終合成が行われます。

現在の設定では:

  • Autocrop
    → 位置合わせで生じた黒縁を自動カット
  • Automatic integration mode
    → データ数に応じて最適なリジェクションを自動選択

どちらも ON推奨 です。

👉 初心者〜上級者まで、安心して任せられる設定です。

Image Integration の詳細ページへ

Astrometric Solution

このオプションを有効にすると、

  • WCS情報(天体座標)を付加
  • 後工程(SPCC、Mosaic、Annotation)が楽になる

というメリットがあります。

「Interactive in case of failure」にチェックが入っているため、
失敗時も対話的に修正できて安心です。

Astrometric Solution の詳細ページへ

まとめ

Lightsタブは、

  • WBPPの自動化の真価が最も発揮される場所
  • 「細かく追い込みすぎない」ことが、安定した結果への近道

です。

Image Registration の詳しい解説はこちら
Local Normalization の設定と考え方
Image Integration の最適設定
Image Solver(Astrometric Solution)の役割

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