星降る場所を求めて

2025年最後の撮影の旅

ここ宮古島では、地元の方が口を揃えて言います。
「12月はね、晴れる日なんてほとんどないよ」と。

・・・まじか。
実際その言葉どおり、曇りや雨の日が続き、思うように撮影に出られない日々。
星が見えない日が続くと、知らず知らずのうちにストレスも溜まっていきます。

とはいえ、今年一年で感じた疑問や、画像処理で悩み抜いたポイントを整理するには、ある意味ちょうどいい時期でもありました。
撮影に出られない時間を使って、あれこれまとめたり振り返ったり。
そんな日々を過ごしていた、今日は12月24日、クリスマスイブです。

サンタにお願いするならプレゼントよりもただひとつ。
「どうか、ほんの少しでいいから晴れてほしい。」

夜の天気予報は相変わらず曇り予報。
それでもダメ元で、いつもの漁港へぷらりと星を見に行くことにしました。

とりあえず椅子と双眼鏡を出して、雲の隙間から見える月をのんびり観望。
この日は、いつもより地球照りがはっきり見えていて、なんだか得した気分でした。

しばらくすると、思った以上に雲量が減ってきました。
「これ、ワンチャンあるかも・・・?」

そう思って望遠鏡をセッティング。
準備が終わり、ふと空を見上げると——
あれ? ほぼ雲がなくなってる。

衛星の可視画像を確認すると、しばらくこの辺りだけ雲がかからなさそう。
まさかの局地的な晴れ。
これはもう、ラッキーとしか言いようがありません。

撮影:iPhone15Pro

今回の目的は、今後のためのベース素材となるRGB撮影です。
まず狙ったのは、散光星雲の代表格「カリフォルニア星雲」。

NGC1499 AskerFRA600 ASI6200MCPro FullSize Gain100 0℃ NoFilter 62x60s PixInsight
NGC1499_Annotated

露光時間は約1時間。
短めではありますが、思っていた以上にしっかり写ってくれました。
構造もそれなりに見えていて、個人的には十分満足な結果です。

以前、この天体はSHOで撮影したことがあり、とても印象的な仕上がりになった記憶があります。
下に並ぶ恒星からの紫外線の影響で、星雲内部に独特で面白い構造が現れるのも、この天体の魅力のひとつ。

次はHaとO3も撮影して、RGBと組み合わせてみたいところです。
この宮古島の空で、どんな表情を見せてくれるのか。
今から楽しみでなりません。

続いて向けたのは、超新星残骸のクラゲ星雲。

IC443 AskerFRA600 ASI6200MCPro FullSize Gain100 0℃ NoFilter 183x60s PixInsight
IC443_Annotated

この天体は、2024年1月にSHOで撮影しています。
ただ、そのときは画像処理にかなり悩まされました。
今振り返っても、「この頃からずっと悩んでたなぁ・・・」と思い出す天体です。

特に悩みの種だったのが色。
どうしても色が破綻してしまい、なかなか納得のいく仕上がりにできませんでした。

今回はまずRGBをしっかり撮影して、改めて土台を作るところから。
この一年で積み重ねてきた経験と試行錯誤が、どこまで活かせるのか。
2025年最後の撮影として、静かにリベンジが始まりました。

まとめ

12月の宮古島は、噂どおりなかなか厳しい空模様でした。
晴れを期待しては外れ、また曇り・・・そんな日が続く中で、正直なところ気持ちが折れそうになることもありました。

それでも、このクリスマスイブの夜に訪れた、ほんのわずかな晴れ間。
ダメ元で出かけた先で星が広がった瞬間は、今年一年のご褒美のように感じられました。

今回は派手な成果を狙う撮影ではなく、今後につながるRGBのベース素材を丁寧に残すことが目的。
カリフォルニア星雲、そしてクラゲ星雲という、これまで何度も向き合ってきた天体を改めて見つめ直す夜でもありました。

振り返れば、2025年は撮影だけでなく、画像処理に悩み、考え、試し続けた一年だったと思います。
その積み重ねが、こうして「次につながる素材」を落ち着いて撮れるようになったことに、少しだけ成長を感じました。

今年の撮影は、これが最後。
また来年、この宮古島の空と向き合いながら、さらに一歩踏み込んだ表現に挑戦していきたいと思います。

星はいつも、待っていてくれる。
そう信じられた、静かで贅沢な締めくくりの夜でした。

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