― WBPPを“賢く”動かすための心臓部 ―

WBPPを使っていて、
- フレームが思った通りに紐づかない
- Dark や Flat が正しく使われていない
- 「STATUS が赤くなっている理由がわからない」
と感じたことがある場合、その原因の多くは Grouping Keywords にあります。
このページでは、WBPPがどのようにフレームを判断し、グループ分けしているのかを整理していきます。
Grouping Keywords とは何か
Grouping Keywords は、WBPPが
- この Light には、どの Dark / Flat を使うか
- フィルターや露光時間が同じか
- 別グループとして扱うべきか
を判断するための ルール定義 です。
WBPPは画像を「見た目」で判断しているわけではなく、FITSヘッダやファイル情報に書かれたキーワードを使って論理的にグループ分けしています。
なぜ Grouping Keywords が重要なのか
WBPPの自動処理は、
正しく撮影されたデータ + 正しく書かれた情報
がそろって初めて成立します。
Grouping Keywords が適切でないと、
- 違う露光時間の Dark が使われる
- フィルター違いの Flat が紐づく
- そもそも補正が行われない
といった問題が起こります。
つまりここは、WBPPの“自動”を成立させるための前提条件 です。
Grouping Keywords パネルの構成
Grouping Keywords には、主に次の要素があります。
- Keyword
- Pre / Post
- キーワードの追加・削除
- 並び順の制御
ここで指定したキーワードをもとに、WBPPはフレーム同士の関係性を判断します。
よく使われるキーワードの例
WBPPでよく使われる代表的なキーワードには、次のようなものがあります。
- FILTER(フィルター名)
- EXPTIME(露光時間)
- BINNING / XBINNING / YBINNING
- GAIN
- OFFSET
- CCD-TEMP(センサー温度)
これらは多くの場合、撮影ソフトが自動的に FITS ヘッダへ書き込んでいます。
Pre / Post の意味
Grouping Keywords には Pre / Post という指定があります。
Pre(前段での一致条件)
- グループを分けるための“必須条件”
- ここが一致しないと、別グループ扱いになる
例:
- Filter
- Bing
Post(後段での条件)
- 補助的な条件
- 基本グループが決まったあとに参照される
例:
- Gain
- Offset
多くの場合、Pre だけを正しく設定しておけば問題ない ケースがほとんどです。
初心者におすすめの考え方
Grouping Keywords を完璧に理解しようとすると、最初は少し大変に感じるかもしれません。
そこでおすすめなのは、
「WBPPが何を見て判断しているか」を意識する
というスタンスです。
- フィルターは同じか
- 露光時間は一致しているか
- ビニングは揃っているか
この3点が整理されていれば、この設定を行わなくてもWBPPはかなり正確に動いてくれます。
ファイル名 vs FITSヘッダ
WBPPは、
- FITSヘッダ
- ファイル名
の 両方を参照 します。
ただし、最も信頼されるのは FITSヘッダ情報 です。
そのため、
- 撮影ソフト側で正しい情報を書き込む
- ファイル名は補助的なものと考える
という意識が大切になります。
STATUS が赤くなるときの考え方
WBPPの一覧で STATUS が!マークになる場合、多くは次のような原因です。
- 必要なキーワードが一致していない
- 対応する Dark / Flat が存在しない
- グループ分けが細かくなりすぎている
そんなときは、
- Grouping Keywords を確認
- フィルター・露光時間・ビニングを確認
- Diagnostics を実行
という順でチェックすると、原因を追いやすくなります。
Grouping Keywords は「撮影の延長線」
Grouping Keywords は、WBPP内だけの話ではありません。
- 撮影時の設定
- 撮影ソフトのヘッダ記録
- データ整理の仕方
これらすべてが、WBPPの自動処理精度に直結 します。
WBPPがうまく動かないと感じたときは、画像処理ではなく 撮影側に原因があるケースも多い ことを覚えておくと役立ちます。
- Filter名が Light と Flat で一致していない
- Gain / Offset が Dark と合っていない
- Exposure が微妙にズレている
私がよく使う例を紹介
この機能は、複数日に渡って撮影したデータをWBPPするときに役立ちます。使用方法は以下のとおりです。
fitsヘッダーの「DATE-OBS」を使用すると時間まで見ていて分けようとするので、新たなキーを作成(フォルダーごとで管理)するほうが早いです。



③「Grouping Keywords」にチェックを入れて機能をOnにする。
分けたいキーワードを入力(例DAY)して「+」ボタン押す
→日ごとのFlat等に整理される しかし、300sのDarkが読み込まれていないためステータスが「!」となっている。
④ファイルのフォルダー名等に「DAY」というキーワードを付さなければ、全体に適用される。
↓300sのDarkフォルダー


まとめ
Grouping Keywords は設定項目ではなく、WBPPが素材を正しく理解するための“言語” だと考えると、この機能の重要性が見えてきます。
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