星降る場所を求めて

6 Output Directory

― WBPPの成果物がすべて集約される場所 ―

Output Directory は、WBPPが生成するすべてのファイルの 保存先 を指定する項目です。

処理結果そのものの画質には直接影響しませんが、

  • データ管理のしやすさ
  • 再処理の効率
  • トラブル時の切り分け

に大きく関わる、非常に重要な設定です。

Output Directory の役割

WBPPを実行すると、指定した Output Directory の下に以下のようなフォルダが自動生成されます。

  • calibrated
  • registered
  • master
  • logs

これらはすべて、
WBPP内部で行われた各工程の「成果物」です。

自動生成される主なフォルダ

calibrated フォルダ

  • Bias / Dark / Flat による補正後の Light フレーム
  • キャリブレーション済みだが、まだ位置合わせ前

後工程のトラブル確認や、Calibration 設定の検証に使われます。

registered フォルダ

  • 位置合わせ(StarAlignment)後の Light フレーム
  • すべて同一基準画像に揃えられた状態

「位置合わせが正しく行われたか」を目視確認する際に重要なフォルダです。

master フォルダ

  • Master Bias
  • Master Dark
  • Master Flat
  • Master Light(最終統合結果)

最終的に現像に使うのは、多くの場合このフォルダ内のファイルになります。

Output Directory 設計の考え方

Output Directory を決めるときの基本方針は、「1プロジェクト=1出力先」 です。

おすすめの考え方は:

  • 対象天体ごと
  • 撮影期間ごと

に Output Directory を分けること。

これにより、

  • 過去データとの混在
  • 誤って上書き
  • どの設定で作ったか分からない

といったトラブルを防げます。

なぜ出力先を分けるべきなのか

WBPPは非常に多くのファイルを生成します。

もし同じ Output Directory を使い回すと、

  • 古いマスターが残る
  • 新旧データが混在する
  • Detect masters from path の挙動が分かりにくくなる

といった問題が起こりやすくなります。

▶ Output Directory は“使い捨て”感覚でOK
これくらい割り切った方が安全です。

再処理・やり直しとの相性

設定を少し変えて再処理したい場合でも、

  • 新しい Output Directory を指定
  • もしくは既存フォルダを空にする

だけで、
完全に独立した再処理 が可能になります。

これは WBPP の大きな強みのひとつです。

よくある失敗例

  • 以前の出力フォルダをそのまま使用
  • master フォルダに古いファイルが残っている
  • 出力先を変更し忘れたまま Run

こうした場合、
「結果がおかしい」「設定を変えたのに変わらない」
と感じることがあります。

その多くは、
Output Directory の使い回し が原因です。

Output Directory 設定のまとめ

  • 画質には影響しない
  • しかし 作業効率と安全性には大きく影響する
  • 1プロジェクト1ディレクトリが基本
  • 再処理時は出力先を分けるのが安心

WBPPを長く使うほど、
この考え方のありがたみが分かってきます。

まとめ

Output Directory は、WBPPの結果を「整理された形で受け取るための箱」です。

適切に管理することで、

  • 再現性の高い処理
  • 安心して試行錯誤できる環境

を作ることができます。

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