星降る場所を求めて

8 Bias

Biasとは何か?

Bias(バイアス)フレームとは、
📌 露光時間をほぼゼロにして撮影した画像 で、CMOS/CCDカメラが読み出し時に必ず発生させる 電子的なオフセット(下駄信号) を記録したものです。

WBPPではこのBiasを、

  • ダークフレームの正規化
  • フラットフレームの補正
  • ライトフレーム処理の基準値

として内部的に使用しています。

WBPPにおけるBiasの役割

WBPPでは、Biasは単独で完結する存在ではなく他のフレームを正しく機能させるための土台です。

対象Biasの使われ方
Darkダークのオフセット成分を除去
Flatフラットの正規化に使用
Lightキャリブレーション全体の基準

Biasタブの画面構成

Biasタブでは、以下の情報が一覧表示されます。

項目内容
#フレーム番号
BIASファイル名
Binビニング
Overscan Infoオーバースキャン適用状況

※ Biasは露光時間がほぼゼロのため、Exposure項目は表示されません。

Biasフレームの追加方法

方法①:個別に追加

  • 画面下部の 「+Bias」 ボタンをクリック
  • Biasフレームを複数選択可能

方法②:フォルダから一括追加

  • 「+Directory」 を使用
  • ファイル名やFITSヘッダから自動分類

Image Integration(Bias統合設定)

BiasもWBPP内部で Image Integration が行われ、Master Bias が生成されます。

主な設定項目

項目内容通常
Combination合成方法Average
Rejection algorithm外れ値除去Auto
Sigma low / highノイズ除去デフォルト
ESD / RCR外れ値制御変更不要

OverscanとBiasの関係

オーバースキャンを使用する場合は、Biasタブでも Overscan設定の整合性 が重要です。

状態注意点
Overscan使用Biasにも同じ設定を適用
Overscan未使用Bias側もOFFにする

→ WBPPのDiagnosticでエラー表示されます。

WBPPはBiasなしでも処理を続行しますが、
以下の警告が出やすくなります。

  • ⚠ Dark exposure mismatch
  • ⚠ Flat calibration accuracy warning
  • ⚠ Cosmetic Correction warning

👉 初心者ほどBiasを用意する方が安全です。


実践的おすすめ設定

項目推奨
Bias枚数50〜100枚
露光時間最短
Gain / OffsetLightと一致
BinLightと一致
Master Bias作成して使い回しOK

※ CMOSでは温度依存性は小さいため 季節ごと更新で十分な場合が多いです。

よくある勘違い正しい理解(結論)補足・実運用のポイント
Biasは必ず必要FlatDarkがあればBiasは不要CMOS+FlatDark運用ではBiasを省略するのが一般的
Biasを入れないとエラーになるNote表示のみで正常動作Diagnosticsの「No bias frames」は問題なし
Darkの露光が違ってもOptimize DarkでOK原則NG、条件付きでのみ可大きな露光差は補正不可、Dark撮り直しが最善
WBPPの警告はすべて致命的種類ごとに意味が違うError=修正必須、Warning=要判断、Note=情報
Presetを使うと画質が劇的に向上する初期値をまとめて設定するだけデータの質以上の結果は得られない
OverscanはONにした方が高精度多くのCMOSでは不要誤設定でエラーの原因になりやすい
Rejection algorithmは手動指定必須多くの場合Autoが最適フレーム数に応じて自動選択される
Reference Imageは一番明るい画像星像が安定した画像が最適ガイド良好・歪みの少ないフレームを選ぶ

項目誤解されやすい理由正しい考え方
BiasCCD時代の知識が残っているFlatDarkがあれば不要
Warning表示赤や紫の文字が不安を煽る内容を読んで判断する
Optimize Dark万能補正に見えるあくまで補助的な機能
Presets魔法の設定に見える初期設定のショートカット
Overscan上級者向けに見えるCMOSでは基本OFF

まとめ(Biasの考え方)

  • BiasはWBPP処理の基礎中の基礎
  • 他フレームの精度を底上げする存在
  • Master Bias運用が最も安定
  • 設定は基本デフォルトで問題なし

▶ Darksの解説ページ

▶ Flatsの解説ページ

▶ Calibrationの確認ポイント

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