星降る場所を求めて

9 Dark

― WBPPにおけるダーク補正の役割 ―

WBPPの Darks タブ は、ライトフレームに含まれる 暗電流・固定パターンノイズ・ホットピクセル を除去するための非常に重要な補正工程を担っています。

BiasやFlatと違い、Darkはほぼすべての運用で必須となる基準フレームです。

Darkフレームとは何か

Darkフレームは、

  • レンズ(または望遠鏡)に光が入らない状態で
  • Lightと同じ露光時間
  • 同じ温度
  • 同じゲイン・オフセット

で撮影された画像です。

Darkフレームに含まれる成分

成分内容
Bias成分読み出しオフセット
暗電流露光時間に比例して増加
固定パターンノイズセンサー固有のムラ
ホットピクセル常に明るく写る画素

👉 Light − Dark によって、これらが除去されます。

WBPPにおけるDarkの基本動作

WBPPでは、
Lightフレームに対して 最も条件の近いDark を自動的に関連付けます。

判定に使われる主な要素

  • 露光時間
  • ビニング
  • フィルター
  • Grouping Keywords(DAY など)

一致度が高いほど、補正精度も高くなります。

Optimization threshold / Exposure tolerance とは?

Optimization threshold

  • Darkスケーリング(Optimize Dark)を行うかどうかの判定基準
  • ノイズ量の差を評価して適用可否を判断

📌 通常は デフォルト値のままで問題ありません

Exposure tolerance

  • LightとDarkの露光時間差を「同一とみなす許容範囲」

例:

  • Light:300s
  • Dark:300s
    → 問題なし
  • Light:300s
  • Dark:290s
    → tolerance次第で関連付けられる可能性あり

📌 意図しないマッチングを防ぐため、基本はデフォルト推奨

Image Integration(Master Dark作成)

Darksタブ下部では、複数のDarkフレームから Master Dark を作成するための設定を行います。

Combination(合成方法)

選択肢特徴推奨度
AverageS/Nが最も高い⭐⭐⭐
Median外れ値に強い⭐⭐
Minimum / Maximum特殊用途非推奨

Rejection algorithm

WBPPでは Auto が強力です。

Autoを選ぶと、

  • フレーム枚数
  • ノイズ特性

をもとに、最適なリジェクション手法(Sigma / Linear Fit など)を自動選択します。

よくある勘違い(Dark編)

勘違い正しい理解
露光が違ってもOptimize DarkでOK原則NG
Darkは多少適当でも影響は小さいノイズ品質に直結する
FlatDarkがあるならDarkはいらないDarkとFlatDarkは役割が違う
Master Darkは1つあれば十分露光・温度ごとに必要

実運用でのおすすめ指針

  • ✔ Lightと同一露光時間のDarkを撮る
  • ✔ 温度差をなるべく小さくする
  • ✔ Grouping Keywords(DAY等)で夜ごとに分ける(Flat Dark)
  • ✔ Optimize Darkは保険、頼り切らない

Darkには Bias成分も含まれています

このため、

  • FlatDarkを使用している
  • Darkを正しく運用している

▶ Biasの解説ページ

▶ Flatsの解説ページ

▶ Calibrationの確認ポイント

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