星降る場所を求めて

Asker ColorMagic D Filter O3の結合方法について

最近、デュアルナローバンドフィルターを使用している方が増えており、X(旧Twitter)でもナローバンドの天体写真をよく目にするようになりました。私もAsker ColorMagic Dフィルターを使用していますが、使い始めた当初から一つ疑問がありました。それは、O3の結合方法についてです。

O3の結合における疑問

撮影対象にもよりますが、RGBのG(緑)とB(青)がO3の波長を表すことが一般的です。しかし、どうもBの画像が弱いと感じることがしばしばありました。この現象の原因を考えてみました。

私のカメラはASI6200MC Proで、Sony製のセンサーを搭載しています。PixInsightに掲載されていたSonyセンサーの波長グラフに、HaとO3の波長を重ねてみると、明らかにO3の波長部分でG(緑)よりもB(青)の受光が弱いことがわかります。このため、特に淡い天体ではBの画像が顕著に弱くなり、O3の結合に影響が出るのです。

O3の結合方法を3種類試してみた

今回は、この現象を踏まえて、Asker ColorMagic Dフィルターを使って、O3の結合方法を私が知りうる3種類について比較してみました。

1. 抽出した4つのO3の画像を加算平均する方法

まずは、**PixInsightの「ImageIntegration」プロセスを使って、4つのO3画像を加算平均する方法です。この方法では、B(青)が弱い場合は事前にHistogramTransformation(HT)**などで輝度を調整してから加算平均すると、より良い結果が得られることが分かりました。

2. PixelMathを使った合成方法

次に試したのは、PixelMathを使った合成方法です。式は以下の通りです。

B*0.2 + G*0.8

この方法は、海外のYouTubeチャンネルで見つけたものですが、なぜこのやり方が有効なのかは正直わかりません。しかし、結果的に仕上がりが良くなり、試してみる価値は十分にあります。

19:36あたりで上記のスクリプトの使用が流れます。

3. Scriptを使用した合成方法

最後に試したのは、PixInsightのScriptを使用した方法です。このDBXtractもYouTubeで見つけたのですが、非常に簡単で仕上がりも優れています。カメラのセンサーを選択し、HaO3画像とS3O3画像を指定してExtractを押すだけで、それぞれの画像を自動的に作成してくれる便利な方法です。

使用するためには以下のアドレスをPixInsghtのリポジトリに登録してインストールして下さい。
https://dbxtract.astrocitas.com/

このスクリプトを簡単に説明すると、

  1. ファイルの読み込み:
    • 最初に、D1.xisf と D2.xisf という2つの画像ファイルをPixInsightで読み込みます。このファイルは天体画像で、浮動小数点数形式のRGB画像(各色チャンネルが32ビット)です。
  2. チャンネルの抽出 (RGBChannelExtraction):
    • スクリプトはRGBチャンネルを個別に抽出し、赤(R)、緑(G)、青(B)の各チャンネルを分けます。これにより、後の処理で個別の色成分を操作することができます。
  3. PixelMathによる処理:
    • PixelMathはPixInsightの強力な数式ツールで、ピクセル単位の計算が行えます。
    • HOcreateOIIISOcreateOIIIという2つのOIII(酸素III)を計算しています。それぞれ、B(ブルー)とG(グリーン)の値から、特定の数式を用いてOIII成分を導出します。
      • 例えば、O3_B= (_B - 0.02 / 0.82 * _R) は、青色チャンネル(_B)から赤色チャンネル(_R)の一部を引き算し、その結果を正規化してOIIIのブルー成分を得ています。
        ※係数は、センサーカメラによって値が違うと思われます。
    • HA(水素アルファ)、SII(硫黄II)、およびOIIIの各チャンネルを別々に処理し、それぞれの画像を生成します。
  4. 最終的な画像合成:
    • 最後に、createSHOという処理で、各成分(_SII, _HA, _OIII)を合成し、SHO(Hubble Palette)のようなカラーマッピングで画像を再構成します。この処理によって、天体画像は独自のカラー表現を持ったものに変換されます。
  5. 速度とメモリの管理:
    • 処理中にメモリを効率的に使うため、途中で「スワップファイル」が書き込まれており、画像処理の高速化が図られています。たとえば、「2742.051 MiB/s」といった速度でデータが書き出されています。

全体的に、このスクリプトはPixInsightのPixelMathを活用して、特定のフィルター(Hα、SII、OIII)の成分を抽出し、それらを組み合わせてカラーマップ(SHO)を作成するためのプロセスを示しています。

4. 処理画像の比較

1〜3の方法で処理した画像を比較してみた。(北アメリカ星雲中心部を拡大)

1番目の方法
2番目の方法
3番目の方法

2番目は、像が甘い感じがする。1番目と3番目を比較すると3番目のほうがピクセルのレンジ幅も広くコントラストが高く感じる。
この3番目のO3を使用して、SHO画像と仕上げたのが下の画像である。

北アメリカ星雲は明るいので、D1,D2それぞれ1時間の露光で上記のような画像を仕上げることが出来た。星雲の構造が観測できて楽しいフィルターです。ただ、赤いだけの星雲に飽きたらおすすめします。

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ちょっとお安いタイプもありますよ。少し受光のバンド幅が広いらしいけど仕上がりはほとんど変わらないみたいです。

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結局は、画像処理のテクニックなのでしょうねw

まとめ

今回、O3の結合方法について3つの方法を比較してみましたが、3番目の方法が最も効果的だと感じました。ただし、淡い天体を撮影する際には、特にB(青)の画像が弱くなりやすい点を理解し、それを考慮した画像処理が重要だと思います。

次回は、その他の画像の結合方法等を記事にできたらいいなぁと思っています・・・お楽しみに!

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