星降る場所を求めて

雲と小雨をかいくぐって撮影!短時間露光で挑んだM6・M8・M16・M33

9月26日(金)

今日は仕事で帰宅が遅くなり、気がつけば19時を回っていた。
疲れた体を横に休めたい気持ちもあったが、ふとベランダから見上げた空に輝く星が「今夜も来い」と誘ってくる。結局いつもの場所へと機材を抱えて出かけることにした。

宮古島の夜は、まだ夏の名残をたっぷり残している。昼間に熱せられたアスファルトや海風がまとわりつくように湿気を運び、肌にじっとりとまとわりつく。三脚を立てただけで額に汗がにじみ、南から吹き抜ける風がそれを少しだけ冷ましてくれる。

空は晴れているものの、東から絶え間なく雲が流れ込み、いつ途切れるか分からない不安定さ。深夜には雨予報も出ている。落ち着いて長時間露光するのは難しいとすぐに判断し、今夜は短時間露光に切り替えて「雲の流れを読んで、明るい天体だけでも確実に写す」作戦を立てた。

撮影中も、星が顔を出しているのに不意に小雨がパラつくことがあり、そのたびにブルーシートで機材を覆う。湿度でレンズや鏡筒がじんわり曇り始めるのをタオルで拭いながら、まるで空と駆け引きをしているような気分になった。

それでも「こんな状況だからこそ、どこまで写せるか試してみたい」という気持ちが勝ち、今夜の挑戦が始まった。

三日月の明るさに負けない天の川の主張 in 宮古島 撮影:iPhone15Pro

M6 ― バタフライ星団

まずはM6から。
露光はわずか20分。いわゆる「星の集まり」で派手さはなく、撮影例を探してもあまり多くは出てこない対象だ。人気はないのかもしれないけれど、大小さまざまな星の色彩が混じる姿は、眺めていて飽きない。

別名「バタフライ星団」と呼ばれているが、今夜の私には蝶の姿には見えなかった・・・仕事帰りで少し心が荒んでいたせいかもしれない。それでも、明るい星の周りには改造したシュミカセ特有のスパイクが出ていて、人間の指紋のように個性的な表情を見せてくれた。

M6
M6(バタフライ星団) EdgeHD800 ASI6200MCPro APS-C Gain100 0℃ NoFilter 4x300s PixInsight

M8 ― 干潟星雲

次はM8へ。
屈折望遠鏡ではよく撮影してきた対象だが、中心部が白飛びしやすく処理に悩む星雲でもある。オリオン大星雲と似た難しさだ。

それでも今回は55分の露光で、中心部だけでなく周辺のディテールまでしっかりと描き出すことができた。自分としてはかなり満足の仕上がり。よきよきw

M8
M8(干潟星雲) EdgeHD800 ASI6200MCPro APS-C Gain100 0℃ NoFilter 11x300s PixInsight

M16 ― わし星雲 創造の柱

続いてM16。
撮影時間はなんと15分。こんな短時間でも「創造の柱」がここまで写ってくれて、思わず嬉しくなった。撮影時間の制約があるからこそ、一枚一枚のありがたみを強く感じる。

M16
M16(わし星雲) EdgeHD800 ASI6200MCPro APS-C Gain100 0℃ NoFilter 3x300s PixInsight

M33 ― さんかく座銀河

最後は久しぶりに銀河撮影を。
フィルターなしで1時間、さらにAskar ColorMagic D1フィルターで30分を加えた。

結果は、銀河を彩る無数の星の粒、赤く光るHa領域、青く輝くOIII、そして黒い筋を描く暗黒星雲…。どれをとっても晩酌のお供にしたいと思える1枚になった。

M33
M33(さんかく座銀河) EdgeHD800 ASI6200MCPro APS-C Gain100 0℃ NoFilter:12x300s D1Filter:6x300sPixInsight

まとめ

今回の画像処理は、最近紹介した「ImageBlend」のみを使い、スクリーン合成やハイパス・フィルターでのオーバーレイなどシンプルな手法で強調を施しただけ。

短時間露光の撮影データは一見「しょぼい」印象になりがちだが、工夫次第で見たいディテールをしっかり引き出せる。むしろ短時間ならではの軽快さと、長時間ならではの豊かさを組み合わせることで、今までにない表現に近づけるのではと感じている。

雲や小雨との駆け引きの夜だったが、そんな条件の中でも確かな成果を残せたことに満足。これからも試行錯誤しながら、短時間と長時間の撮影をバランスよく取り入れて、さらに面白い天体写真に挑んでいきたいです。さぁ、次もがんばるぞ〜!

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