星降る場所を求めて

宮古島「なりやまあやぐまつり」と星空の夜

10月12日(日)

今日の宮古島は、朝からどんよりとした曇り空。
そのおかげで外に出ても、いつものような暑さを感じることがなく、少しだけ過ごしやすい一日でした。

午前中、いつも行っている漁港の隣の浜辺で「三線(さんしん)」の大会が行われるということで、ちょっと冷やかし半分に予選を見に行ってみました。
それが「なりやまあやぐまつり」。宮古民謡の代表曲「なりやまあやぐ」を後世に継承していくことを目的に、発祥の地・友利で開催されるお祭りです。

「なりやまあやぐ」とは、妻が夫を諭す教訓歌で、宮古では誰もが知っている民謡とのこと。
海上に設けられた特設ステージ、水中照明が照らす幻想的な舞台、そして周囲を囲むロウソク灯籠の明かり。そんな雰囲気の中に、美しい三線の音色と歌声が響き渡っていました。

面白いのは、みんな同じ曲を弾いているのに、同じに聞こえないということ。
三線というシンプルな楽器だからこそ、音の出方や揺らぎが奏者ごとに全く違っていて、深い世界だなぁと感じました。

午前中の予選の様子 ここだけ晴れていて暑い〜

午後の本戦は18時からとのことで、一度帰宅して夕方に備えることに。
そして15時ごろ、ふと天気予報を確認すると――なんと晴れ予報に変わっている!しかも島の北東側から。
これは行くしかないと、即座に機材を車に積み込み、再び18時からの本戦を見に出発しました。

ところが会場周辺はまつりのため通行止めだらけ。
近くの駐車場も使えず、警備のおじいさんに「ダメ〜」とやんわり断られてしまいました(笑)。
代わりに「◯×△×のほうに止めてシャトルバスで〜」と教えてくれたのですが、地元の方言が混じっていて、3回聞いても理解できず・・・結局、本戦はあきらめて天体観測に切り替えることにしました。

「なりやまあやぐまつり」ホームページから引用:https://nariyamaayagu.com  行けなかったけどこんなんだったみたい あ〜見たかったなぁ

真謝漁港での撮影

向かったのは島の北東部にある真謝漁港(まじゃぎょこう)。
以前ロケハンで訪れて気になっていた場所です。
夜釣りの方が数人おられましたが、とても静かで落ち着いた夜でした。
何より嬉しかったのは、ここにはなぜかまとわりつく虫がいないこと。
理由はわかりませんが、これは本当にありがたいです。

今回は北東の空を狙い、ハート星雲の中心部・IC1805をシュミカセで撮影してみました。
最近は追尾がいまいち安定せず、星が流れてしまうことが多かったのですが、その原因をようやく突き止めました。
どうやら「極軸合わせ」が甘かったようです。

真謝漁港

ASIAirでポーラーアライメントを行う際、カメラのセンサー設定をフルサイズにしておかないと、正確な極軸合わせができないことが判明しました。(長焦点の望遠鏡の場合ですよw)
APS-Cサイズの画角で行うと誤差が出やすいようです。
今日はそれを意識してしっかり調整したおかげで、36枚×300秒の全フレームを落とすことなく使用できました。

ハート星雲中心部 EdgeHD800 ASI6200MCPro Gain100 0℃ NoFilter:36x300s PixInsight

通常のRGBで撮影しましたが、星雲のもやもや感がとても良い雰囲気。
そして何より、これまで悩まされてきた“星の流れ”の原因がようやく分かったことで、今日はそれだけで大満足でした。


まとめ

昼間は宮古島の伝統に触れ、夜は宇宙の光を追う——そんな贅沢な一日でした。
地元の人々が大切に歌い継ぐ「なりやまあやぐ」の旋律と、遥か彼方の星々が放つ淡い光。
まったく異なる世界のようでいて、どちらにも“時を超えて受け継がれる美しさ”があると感じます。

特に印象的だったのは、三線の音色が風に乗って浜辺に響くあの穏やかな時間。
島の人たちが自分たちの文化を誇りに思いながら、次の世代へと伝えていく姿を見て、
「伝える」という行為の力強さと温かさを改めて実感しました。
それは、私たちが星を撮る理由にもどこか通じている気がします。
はるか昔に放たれた光を受け取り、今という時代にその姿を残す——
それもまた、宇宙の“記憶”を伝えるひとつの形なのかもしれません。

夜の撮影では、これまで悩まされてきた星の流れの原因を突き止めることができて、
小さな一歩ながら大きな達成感がありました。
晴れた空と静かな海、虫もいない穏やかな夜風の中で、
一枚一枚の光を丁寧に積み重ねていく時間がとても心地よかったです。
この島の夜空は、ただ撮るだけでなく、自分と向き合う時間をくれるような気がします。

そして今は、新たな挑戦を模索中。
これまでの機材や撮影スタイルにとらわれず、もう一歩先の表現を見つけていけたらと思っています。
また新しい発見があれば、ここでご報告しますね。

登ってきた月 撮影機材:iPhone15Pro

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