星降る場所を求めて

3 Grouping Keywords

― WBPPを“賢く”動かすための心臓部 ―

WBPPを使っていて、

  • フレームが思った通りに紐づかない
  • Dark や Flat が正しく使われていない
  • 「STATUS が赤くなっている理由がわからない」

と感じたことがある場合、その原因の多くは Grouping Keywords にあります。

このページでは、WBPPがどのようにフレームを判断し、グループ分けしているのかを整理していきます。

Grouping Keywords とは何か

Grouping Keywords は、WBPPが

  • この Light には、どの Dark / Flat を使うか
  • フィルターや露光時間が同じか
  • 別グループとして扱うべきか

を判断するための ルール定義 です。

WBPPは画像を「見た目」で判断しているわけではなく、FITSヘッダやファイル情報に書かれたキーワードを使って論理的にグループ分けしています。

なぜ Grouping Keywords が重要なのか

WBPPの自動処理は、

正しく撮影されたデータ + 正しく書かれた情報

がそろって初めて成立します。

Grouping Keywords が適切でないと、

  • 違う露光時間の Dark が使われる
  • フィルター違いの Flat が紐づく
  • そもそも補正が行われない

といった問題が起こります。

つまりここは、WBPPの“自動”を成立させるための前提条件 です。

Grouping Keywords パネルの構成

Grouping Keywords には、主に次の要素があります。

  • Keyword
  • Pre / Post
  • キーワードの追加・削除
  • 並び順の制御

ここで指定したキーワードをもとに、WBPPはフレーム同士の関係性を判断します。

よく使われるキーワードの例

WBPPでよく使われる代表的なキーワードには、次のようなものがあります。

  • FILTER(フィルター名)
  • EXPTIME(露光時間)
  • BINNING / XBINNING / YBINNING
  • GAIN
  • OFFSET
  • CCD-TEMP(センサー温度)

これらは多くの場合、撮影ソフトが自動的に FITS ヘッダへ書き込んでいます。

Pre / Post の意味

Grouping Keywords には Pre / Post という指定があります。

Pre(前段での一致条件)

  • グループを分けるための“必須条件”
  • ここが一致しないと、別グループ扱いになる

例:

  • Filter
  • Bing

Post(後段での条件)

  • 補助的な条件
  • 基本グループが決まったあとに参照される

例:

  • Gain
  • Offset

多くの場合、Pre だけを正しく設定しておけば問題ない ケースがほとんどです。

初心者におすすめの考え方

Grouping Keywords を完璧に理解しようとすると、最初は少し大変に感じるかもしれません。

そこでおすすめなのは、

「WBPPが何を見て判断しているか」を意識する

というスタンスです。

  • フィルターは同じか
  • 露光時間は一致しているか
  • ビニングは揃っているか

ファイル名 vs FITSヘッダ

WBPPは、

  • FITSヘッダ
  • ファイル名

の 両方を参照 します。

ただし、最も信頼されるのは FITSヘッダ情報 です。

そのため、

  • 撮影ソフト側で正しい情報を書き込む
  • ファイル名は補助的なものと考える

という意識が大切になります。

STATUS が赤くなるときの考え方

WBPPの一覧で STATUS が!マークになる場合、多くは次のような原因です。

  • 必要なキーワードが一致していない
  • 対応する Dark / Flat が存在しない
  • グループ分けが細かくなりすぎている

そんなときは、

  1. Grouping Keywords を確認
  2. フィルター・露光時間・ビニングを確認
  3. Diagnostics を実行

という順でチェックすると、原因を追いやすくなります。

Grouping Keywords は「撮影の延長線」

Grouping Keywords は、WBPP内だけの話ではありません。

  • 撮影時の設定
  • 撮影ソフトのヘッダ記録
  • データ整理の仕方

これらすべてが、WBPPの自動処理精度に直結 します。

  • Filter名が Light と Flat で一致していない
  • Gain / Offset が Dark と合っていない
  • Exposure が微妙にズレている

この機能は、複数日に渡って撮影したデータをWBPPするときに役立ちます。使用方法は以下のとおりです。
fitsヘッダーの「DATE-OBS」を使用すると時間まで見ていて分けようとするので、新たなキーを作成(フォルダーごとで管理)するほうが早いです。

①ディレクトリを撮影日毎に整理します
②左下のボタン「Directory」からファイルを一気に読み込む

③「Grouping Keywords」にチェックを入れて機能をOnにする。
 分けたいキーワードを入力(例DAY)して「+」ボタン押す
 →日ごとのFlat等に整理される しかし、300sのDarkが読み込まれていないためステータスが「!」となっている。

④ファイルのフォルダー名等に「DAY」というキーワードを付さなければ、全体に適用される。

 ↓300sのDarkフォルダー

Grouping Keywords は設定項目ではなく、WBPPが素材を正しく理解するための“言語” だと考えると、この機能の重要性が見えてきます。

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