星降る場所を求めて

耳納山にて(福岡県八女市)〜その2

その2では、「トールの兜」を観測したことを記録してます。
まずは、全体写真を観てみましょうw

「トールの兜」NGC2359 【HOO処理】AskerFRA600 ASI6200MCPro D1:30x300s Gain100 -10℃ PixInsight

 NGC2359は、北欧神話に出てくるトールさんが被っている兜に似ていることから、「トールの兜」星雲と言われている。私の初めての感想は、バブル星雲か?と思ってしまった。それもそのはず、同じ系統の星雲でした。

なんで、O3輝線だらけなのか?

 このNGC2359がなぜ青いO3輝線で覆われているか不思議で調べました。
 中心星HD56925(WR7)が原因らしいのですが、このカッコのWR7を理解するのに苦戦しました。

 簡単に理解したことを説明すると、中心星HD56925は、ウォルフ・ライエ星(WR星)という恒星の分類の一つです。

【ウォルフ・ライエ星の特徴】
 スペクトル・・・ヘリウム、炭素、酸素、窒素の広い幅の輝線をもつ青色巨星
 光度・・・太陽の3万倍から100万倍

 この特徴の中で、スペクトルに水素が含まれていないことは、すでに星の膨張過程で水素を含む外層が恒星風によって吹き飛ばされたことを意味しています。そして残った中心部の高温内部が露出し青色巨星となるみたいです。

 このNGC2359においては、恒星風によって吹き飛ばされたのは水素だけでなく、さらにその内側の酸素の部分も吹き飛ばされてこのような散光星雲になったと考えることができます。

どこまでが、吹き飛ばされたHa輝線なのか?

 いまいち不明なのが、周りの赤い部分(Ha輝線)水素の部分がどこまでが吹き飛ばされた部分なのかがイマイチ写真で表現できない。けっこう、この星雲の周りに分子雲も確認していて、青色巨星の紫外線によってHa輝線として輝いているかがわかりにくい・・・
 
 しかし、WR星の特徴を考慮すると、O3輝線の外縁の赤い部分だけが純粋にHD56925を構成していた水素なのであろうと思う。これを踏まえて写真を処理してみた。

画像

 まずは、ナローバンドで撮影した画像を原子が軽い順で並べて比較してみた。

Ha輝線
O3輝線
S2輝線

 使用しているフィルターの関係上、O3輝線だけ他の輝線より4倍の露光時間となっている。とはいえいつもだったらO3輝線を出すことに苦労するのにHa輝線と同等かそれ以上の輝きを確認できる。

 これをもっと分析すれば、星の大きさ、年齢、あとどのくらいで超新星爆発起こすか解析できると思うが、私にはそんな技術も知識もないので想像で済ませます・・・

 それにしてもO3輝線の多さには脱帽です(いつも苦労するのになんかくやしい・・・)きっと、星の外層が水素からヘリウム・・・酸素の核融合が多い段階でガスとして噴出したことがうかがえる。なぜかというと泡みたいな円がほぼ同じ大きさなのでそう言えるのではないでしょうか。

まずは、もう一度「HOO」の画像

「トールの兜」NGC2359 【HOO処理】AskerFRA600 ASI6200MCPro D1:30x300s Gain100 -10℃ PixInsight

 もう少し、観賞用になるように中心のコンストラスを上げたい、周りのHa輝線をもう少しピンクを混ぜて明るい赤にしたい・・・今回は、時間がなくてこれで妥協しちゃいましたw

 次に「SHO」画像

「トールの兜」NGC2359 【SHO処理】AskerFRA600 ASI6200MCPro D1:30x300s D2:30x300s Gain100 -10℃ PixInsight

 トータル5時間露光してSHO処理しました。やっぱり、露光時間が長いとコントラストがあがるのかなぁ・・・今まで長時間露光を比較したことがなかったので少し気になりました。これからいろいろと検証してみたいと思います。

さいごに

 今回は、画像の処理に時間を要したのではなく、意外と天体の知識を勉強していたら時間を費やしてしまった。勉強していると楽しくてついついいろんな方向に飛んでしまっていたw
 さぁ、次は何を観測しようかなぁ〜

コメント

error: Content is protected !!
タイトルとURLをコピーしました