10月22日(水)
宮古島は、当分ず〜っと雨模様。
週間天気を見ても、しばらく晴れマークがない。
「あ〜気が沈むなぁ…レモン彗星も見れないし残念。」
そんなことを思いながら、気晴らしに天文系のサイトをネットサーフィンしていたら——
すごいものを発見してしまいました!
久々にきたこのワクワク感。
思わず「やっときたーーーーー!」と叫んでしまったほど(笑)
🌟 PixInsightでHR図を自動生成!?
見つけたのは、PixInsightで撮影画像からHR図(Hertzsprung–Russell図)を作成できるスクリプト。
以前から「GAIA DR3の星データを自分の画像とリンクできたら面白いのになぁ」と思っていたんですが、
まさにそのアイデアを実現してくれた方がいたんです。
いや〜世界は広い。
そしてPixInsightユーザーの創造力は底なしですね。
導入方法
・PixInsightのリポジトリにアドレスを追加
PixInsightの上部メニュー Resources<Update<Manage Repositories で開いたWindowのAdd ボタンから
以下のURLを追加します。
https://www.cosmicphotons.com/pi-scripts/hertzsprungrussell/
・アップデートを実行
PixInsightの上部メニュー Resources<Update<Check for Update でアップデートし、再起動するとスクリプトが利用可能になります。
さっそくスクリプトをダウンロードして使用開始!
作者の方に感謝しかありません🙏
💫 そもそもHR図ってなに?
「HR図(Hertzsprung–Russell図)」とは、
星の“色(=温度)”と“明るさ(=光度)”をひとつのグラフにしたものです。
横軸は星の色、つまり温度を表しています。
左に行くほど高温で青白く輝く星、右に行くほど低温で赤く優しい光を放つ星です。
縦軸は星の明るさを示していて、上に行くほど明るく、下に行くほど暗くなります。
この図を見るだけで、星たちがどんな“人生の段階”にいるのかが分かってしまうんです。
たとえば——
- 真ん中の帯を進む 主系列星 は、まさに“青春まっただ中”の星たち。
核で水素を燃やしてエネルギーを生み出している、最も安定した時期です。 - そこから右上へ進む 赤色巨星 は、燃料を使い果たして膨張し、
ゆっくりと最期の輝きを放っている“老年期”の星。 - さらに左下には、燃え尽きて小さくなった 白色矮星 が並びます。
それはまるで、星の一生を静かに締めくくる“余生”のような存在です。
こうして並んだ星たちを眺めると、
まるで夜空の中に無数の“人生の地図”が描かれているような気がしてきます。

🧭 スクリプトの使い方
1 分析したい画像をImageSolverとSPCCの処理する。
2 以下の図のように①、②、③の順で実行

「Adjust for distance 」にチェックを入れることで絶対等級に変換します。
「Proper motion adjustment」 をチェックすると距離補正が加わり星団のメンバーを絞れます。
3 左下のチェックをクリックすると完成したチャートを出力します。

他の機能として、距離と円の範囲でフィルターをかける機能もあります。また、何年後の星の軌道を表示してくれます。
詳しくは、こちらのYouTubeを見れば一発解決しますよ。(そうそう親切に日本語で話してくれるのでわかりやすいですw)
🌌 実例:球状星団 M2 のHR図


M2のHR図を見ると、いくつかの特徴がはっきりと現れています。
(3等級から下がスパッとないのは、短時間撮影で暗い星が撮影できていなかったからですw)
① 主系列とターンオフ点
右下から左上に伸びる細い帯が「主系列」です。
M2では、この帯が B−V ≈ 0.8〜1.0 付近で折れ曲がり(ターンオフ点)、そこから星が減少しています。
この位置は、星団の年齢を示す重要なポイントで、
解析の結果、M2は約120〜130億年前に形成されたと考えられます。
つまり、銀河系が誕生した初期のころから存在している星団なのです。
② 赤色巨星分枝(RGB)
ターンオフ点から右上にのびるオレンジ色の帯は、赤色巨星へ進化した星たち。
内部で水素を使い果たし、外層が膨張して冷え、赤く輝くようになります。
M2の赤色巨星分枝はやや青寄りで、傾きが急。
これは「金属量(鉄などの重元素)が少ない星たち」であることを示しています。
③ 水平分枝(HB)
図の中央付近に、青から黄色にかけて横に並ぶ帯があります。
これが「水平分枝」で、星がヘリウムを燃焼している段階です。
M2の水平分枝は青い方向まで長く伸びており、
これもまた金属量が非常に少ない星団の特徴です。
🕰 ターンオフ点が示す“星団の時計”
球状星団にいる星は、ほぼ同じ時期に生まれた兄弟星たちです。
つまり、ターンオフ点にいる星の寿命が「星団の年齢」と一致します。
たとえば:
- 太陽と同じくらいの質量の星の寿命 → 約100億年
- 少し軽い星なら → もっと長く(120億年以上)
- 重い星なら → 短く(数億年〜数千万年)
HR図で「どの質量の星まで主系列に残っているか」を調べることで、
その星団がどれだけの年月を経ているかが分かるのです。
こうした特徴をすべて組み合わせることで、
M2は金属量が少ない、古代の星々が集まる原始的な星団であるとわかります。
🪐 M2が語る宇宙の歴史
M2の星々は、宇宙がまだ若かったころに生まれたもの。
重元素をほとんど含まない「第一世代に近い星たち」が集まっており、
私たちの銀河が形成されるはるか以前の姿を今に伝えてくれています。
この星団をHR図で見るというのは、
まるで宇宙の古文書を開くような行為なのかもしれません。
🌟 まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 星団名 | M2(NGC 7089) |
| 年齢 | 約120〜130億年 |
| 金属量 [Fe/H] | −1.6(太陽の約1/40) |
| 特徴 | 青い水平分枝を持つ低金属量の古代星団 |
M2は、宇宙の黎明期に誕生した星々が今も静かに輝き続ける、
まさに「銀河の記憶」を宿した天体です。
🌠 最後に
宮古島の空が雨で覆われていると、どうしても気持ちまで曇ってしまうものです。
でも、そんな“観測できない夜”だからこそ、落ち着いて宇宙の仕組みを学ぶ時間が持てるのかもしれません。
今回試したPixInsightのHR図スクリプトは、まさにそんな雨の日にぴったりのツールでした。
自分が撮った画像の中から星を拾い、GAIAのデータと重ね合わせて一つの図にしていく。
その過程は、まるで夜空に散らばった星たちの声をひとつずつ聞き取るような感覚でした。
M2のHR図に並んだ点の一つひとつは、
何十億年という時間をかけて進化してきた星の“足跡”。
そしてその並び方が、星団の年齢や成り立ちを静かに語ってくれます。
同じ星でも、若く燃える主系列星、穏やかに輝く赤色巨星、そして余生を過ごす白色矮星――
それぞれが自分の“時間”を刻みながら宇宙を彩っているんですね。
撮影のない日でも、星たちは確かにそこにいて、
光の裏側にはこんなにも深い物語が隠されている。
そう思うと、曇り空さえ少しだけ優しく見えてきます。
次に晴れた夜、また空を見上げるときには、
あのHR図で見た星たちの“人生の地図”を思い浮かべながら、
一つひとつの光をもう少し丁寧に見つめてみようと思います。


コメント