星降る場所を求めて

梅雨入りした宮古島、久々の晴れ間

5月7日(木)

今日は久々のお休みでした。

ここ宮古島も先日梅雨入りし、昨日も大雨。
しばらく空を見上げても雲ばかりで、なかなか星空に出会えない日が続いていました。

ところが今日は、久々の晴れ。

こうなると、天体写真家としてはじっとしていられません。

「休館日だけど、これは望遠鏡の調整に行くしかない」

ということで、MIYAKO GALAXY-DOMEの天文台へ向かいました。


まずは望遠鏡の基本調整から

今回の目的は、望遠鏡と赤道儀の再調整です。

まずはスパナを持って極軸調整。

この赤道儀、やっぱり大きいです。
そして重いです。

「こいつデカいんだよ……重いんだよ……」

と、ひとりブツブツ言いながら、少しずつ調整していきました。

ただ、大きな機材ほど基本が大事です。

極軸を合わせながら、同時に鏡筒の外気温への順応も進め、カメラもゆっくりクーリング。
その後、鏡筒の蓋を開けてホコリを取り、先にフラットとダークの撮影も済ませました。

天体撮影は、実際にシャッターを切る前の準備がとても大切です。

機材の温度、カメラの冷却、光学系の状態、フラット、ダーク、そして赤道儀のバランス。
どれか一つでも甘いと、あとで画像処理をしているときに苦労することになります。


追尾を安定させるため、赤道儀のバランスを再調整

前回までの撮影では、どうしても追尾が安定しない印象がありました。

星がわずかに流れたり、撮影ごとに安定感が違ったり。
原因を考えると、やはり赤道儀まわりの基本調整に戻る必要がありそうでした。

そこで今回は、説明書を確認しながら、赤道儀のバランスを再調整。

大きな鏡筒は、少しのバランスの崩れが追尾に影響します。
見た目には問題なさそうでも、実際に撮影してみると星像に出てしまうんですよね。

いや〜、大きい機材は本当に手間がかかります。

でも、そのぶんしっかり調整できたときの安心感も大きいです。


M83「南の回転花火銀河」でテスト撮影

調整後、テスト撮影の対象に選んだのは M83
別名「南の回転花火銀河」とも呼ばれる、美しい渦巻銀河です。

今回の撮影は、

TAKAHASHI TOA-130NS with フラットナー
ASI4400MC Pro

という組み合わせで行いました。

結果はこちら。

M83 TOA-130NS with フッラトナー ASI4400MCPro FullSize Gain136 0℃ NoFilter: 28x300s PixInsight

撮影結果を確認して、まずひと安心。

星像はしっかりしており、追尾も良好。
前回までのような不安定さはかなり改善されていました。

やはり、基本に立ち返ることは大事ですね。

極軸調整。
バランス調整。
温度順応。
カメラの冷却。
フラット・ダークの準備。

一つひとつは地味な作業ですが、最終的な星像にはしっかり反映されます。

今回は、ようやくTOA-130NSとASI4400MC Proの組み合わせで、納得できる星像を得ることができました。


テスト撮影中、屋上で南十字星を眺める

M83のテスト撮影をしている間、少し別の建物の屋上へ上がって星空を眺めに行きました。

空を見上げると、南の低い空に星々が見えています。

「あ、今日は南十字星が見える」

宮古島ならではの星空です。

せっかくなので、まずは記念撮影。

その近くにご家族がいらっしゃったので、

「南十字星、見えていますよ」

と声をかけてみました。

すると、みなさんとても感動されていました。

南十字星は、日本本土の多くの地域ではなかなか見ることができません。
宮古島のように南に位置する場所だからこそ出会える、特別な星空のひとつです。


プラネタリウムで伝えたことが、実際の星空につながった瞬間

そのあと、小学4年生くらいのお子さんから、

「しし座ってどれ?」

と聞かれました。

そこで、空を指差しながらしし座を案内しました。

するとその子が、

「あれがデネボラで、あれがスピカ。
それから、あれがアークトゥルスだよ。
それで春の大三角形なんだ。
スピカは麦穂って意味だよ」

と、次々に星の名前を教えてくれたのです。

最初は、

「おぉ、すごいな。よく知ってるなぁ」

と思って聞いていました。

すると、お母さんが笑いながら、

「昨日、プラネタリウムで知ったんだよね」

と教えてくれました。

その瞬間、とても嬉しくなりました。

私たちがプラネタリウムで伝えたことを、その子がしっかり覚えてくれていた。
そして翌日、実際の星空の下で、その知識を自分の言葉として話してくれていた。

これは本当に嬉しい出来事でした。

プラネタリウムで見た星空が、ただの映像で終わらず、実際の夜空につながっている。
知識として聞いた星の名前が、本物の空を見上げたときに「あれだ」と結びついている。

まさに、私たちが届けたい星空体験そのものだと感じました。


そのまま実地の星空案内へ

もう、そこからは自然と星空案内が始まりました。

プラネタリウムで学んだことを、今度は本物の星空の下で確認していく時間。

その中で、お子さんが空を見上げながら、

「かに座はどれ?」

と探していました。

ただ、かに座は明るい星が少なく、夜空の中ではなかなか見つけにくい星座です。

しばらく探したあと、その子がぽつりと、

「やっぱり見えないんだね。存在感がないね」

と話していて、思わず笑ってしまいました。

どうやら前日のプラネタリウムで、星のおじさんがしっかりとかに座をディスっていたことも、ちゃんと伝わっていたようです。

もちろん、かに座にもプレセペ星団という素敵な見どころがあります。
でも、しし座や春の大三角形と比べると、どうしても少し控えめな存在。

そんな星座の個性まで覚えてくれていたことが、なんだかとても嬉しく感じました。

それは、映像だけでも、解説だけでもない、実際の空とつながる体験でした。

星空を見上げながら、子どもたちが「あれかな?」「これかな?」と探している姿を見ると、こちらまで楽しくなります。

天体写真を撮ることも楽しい。
望遠鏡を調整して、きれいな星像が得られることも嬉しい。

でも、こうして誰かが星空に興味を持ち、その場で感動してくれる瞬間は、また別の喜びがあります。

まとめ

今回は、梅雨入りした宮古島で訪れた久々の晴れ間を使って、天文台の望遠鏡調整を行いました。

大きな機材は、やはり簡単ではありません。

極軸調整、バランス調整、温度順応、カメラの冷却、フラットやダークの準備。
どれも地味な作業ですが、天体写真の仕上がりを大きく左右する大切な工程です。

その結果、TOA-130NSとASI4400MC Proの組み合わせで、M83をしっかりと撮影することができました。
星像も安定し、追尾も良好。
ようやくこのシステムの本来の力を引き出せそうな手応えを感じました。

そして、それ以上に心に残ったのが、屋上での星空案内でした。

プラネタリウムで伝えた星の話を、翌日に子どもが実際の星空の下で思い出し、自分の言葉で話してくれたこと。
これは、私にとって本当に嬉しい出来事でした。

プラネタリウムで学び、外に出て本物の星空を見上げる。
そこで「あの星だ」と気づく。

その瞬間、星空はただ眺めるものではなく、自分の中に残る体験になるのだと思います。

天体写真を撮ること。
望遠鏡を整えること。
プラネタリウムで伝えること。
そして、本物の星空の下で一緒に見上げること。

そのすべてが、MIYAKO GALAXY-DOMEで届けたい星空体験につながっているのだと、改めて感じた一日でした。

梅雨の合間の、ほんの短い晴れ間。
でも、とても濃く、忘れられない夜になりました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました