3月15日 福岡県朝倉市の小石原川ダムにて、シュミカセのテスト撮影をおこなった。
1 やる気になった経緯
CELESTRON EdgeHD800-CG5を所有しているがここしばらく出番がなかった。なぜかというと〜
・オートガイドがうまくいかない
・結露がひどい
・星像があまい
等々である。しかし、FRA600で色々と撮影していたら、「もっとクローズアップしてあそこを詳しく観察したい」という欲求にかられてしかたなかった。
これを解決するには〜「エッジ君の出番だー!」ということになった訳です。
2 今回の撮影結果
今回の画像処理においては、特に変わったことはしていない。
<PixInsightでの手順>
1 WBPPで前処理
2 GradientCorrectionで勾配補正
3 BlurXTでCorrectOnly
4 SPCCで色合わせ
5 HTとSTでストレッチ
6 NoiseXTでノイズ除去
このような手順でさくっと仕上げた。
撮影結果を見て気に入らないのが、「星が割れている」である。WBPPを終えてその画像を見た瞬間が一番の楽しみなのだが、結果はわかっていたものの今回は久々に落胆した。(本当にかなり深〜いところまで心が落ちた)
M81の画像をみて「ガーン(T_T)」、象の鼻の画像を見て「おわた〜(T_T)」て感じでした。
いつものようにPCのサブ画面いっぱいにこの画像を表示。晩酌しながら画像を見て今後の対策をねった・・・
3 問題点と対策方法等
前回、「ポーラーアライメントができない」、「プレートソルブが作動しない」という問題があったがこれについては凡ミスであった。理由は、HaO3フィルターを装着したままやっていたためであった。(なんとなく、星が見えないなぁ〜と思っていたが、見えている現実を信用しすぎてしまった)
これが解決できたのは、今回一緒に活動した仲間の一言であった。
(仲間)「フィルター付けているとフォーカス合いにくいですよね〜」
(私) 「そうなんですか〜あんまり気にしてなかったですね〜なんとか合ってますよ」
(私の心:えっ、やばっ、そうなんだ!ていうことは・・・今、つけっぱじゃん❗フィルター外して再調整だ❗)
という具合でフィルターを外したら解決した。そりゃ〜HaO3だけだったら、映るものも映らないですよね。凡ミスでした・・・感謝してます、ありがとうございました❗
では、それ以外で現在判明している(感じている)問題点とそれを解決する対策方法を整理してみた。また、星を捉えることを優先して解決する順番を付けた。
ステータス | 問題点 | 今後の対策方法等 | 優先順位 |
✕ | オートガイドがうまくいかない | 今一度、基本手順通りやってみる | 2 |
◯ | 結露がひどい | Dew Heaterで解決 | ー |
✕ | 星像があまい | ・露光時間を伸ばす ・ソフトウェアで解決 | 3 |
✕ | 星が割れる | ・機器の再確認 ・光軸の再調整 | 1 |
次に前回の撮影写真はどうであったか、同じ手順で処理して確認してみた。
ちゃんと星が丸いし、なんら問題ないように感じる。(あんだけひどい写真の後だけに幸せを感じる〜)
次に優先順位に従って各問題点について考えてみた。
1 「星が割れる」
正常だった機器の構成と比較してみた。
前回の機器構成 1 鏡筒:何もしていない 2 ヒーターなし 3 カメラ:ASI6200MCPro 設定 APS-C Gain100 -10℃ 4 ガイド:FMA180 ASI120MM 5 赤道儀:AM5 |
今回の機器構成 1 鏡筒:結露による筒内気温低下防止のためのシートを巻いている 2 ヒーターあり 3 カメラ:ASI6200MCPro 設定 APS-C Gain100 -10℃ 4 ガイド:FMA180 ASI120MM 5 赤道儀:AM5 6 その他 ・オフアキシスガイダー ・フィルターホルダー |
上記の表を比較して違う点を考えてみた。
・鏡筒
ヒーターが結構熱くなるので使用時間で像のゆらぎ環境の変化はあると思う。(まるで、真空管アンプみたいだ)しかし、星が一定方向に割れる原因には関係なさそうだ。
・オフアキシスガイダー
こいつがくさいなぁ〜プリズムが出っ張りすぎて偏光させているのでは?
夕方にピント合わせをした際に景色は映るのを確認したが、天体を撮影時には星が映らないので、ガイドをFMA180で行っていた。
しかも、画角サイズをAPS-Cにしているからフルサイズでのでっぱりに気がついていない可能性が大きいなぁ〜
次回撮影時は、まずオフアキシスガイダーを外して撮影してみよう。
2 オートガイドがうまくいかない
今回、同行者の仲間にガイドがうまくいかないことを相談したら、ASIAirの画面見て言ってくれた。
仲間:「ガイド星のPeak値が低いですよ〜この場所はもっとゲインを上げたほうがいいですよ」
ってアドバイスをくれた。
私は、デフォルトでゲイン設定を変更することがなかった。ゲインスライダーを右にぐいっとあげたら・・・お〜っ星がもっと見える〜Peak値もあがった。
この後のガイドは落ち着いた。
しかし、すっきりしないなぁ。今一度手順を再確認して次回チャレンジしようと思う。
・取り付け緩み
・カメラの取付方向
・焦点距離の設定
・ゲイン
・ピント
・反応感度の調整
3 星像があまい
鏡筒の明るさ(F値)に着目にして考えてみた。
EdgeHD800-CG5は、F9.9なのでFRA600(F値5.6)に比べて約2倍暗いということ?ん〜よくわからないので調べてみた。
F値の公式は以下のとおり。
とうことは、光を集める面積(S)は、S=π半径2 → S=π(有効口径/2)2 と表せる。
なので、有効口径がになると面積は半分となる。したがって、F値が倍となるごとに明るさは半分となる。
レンズが結ぶ像の面積は、焦点距離の2乗に比例して拡大する。また一方で、レンズに入射する光量はレンズの有効面積に比例する。では、レンズの有効面積はというと、有効直径の2乗に比例する。
したがって、像の面積あたりの光量は、焦点距離の2乗に反比例し、有効直径の2乗に比例する。すなわち、(有効直径/焦点距離)の2乗 → 1/F の2乗に比例する。
したがって、光量(LV : LightValue)は、露光時間(T)を乗じて以下のように表せる。
2LV = F2 / T
LV = log2 ( F2/ T )
では、FRA600で1時間の露光と同じ明るさを得るためには、EdgeHD800でどれだけの露光時間が必要となるか?
LVFRA600 = log2 ( 5.62 / 60(分) ) = – 0.9360369
– 0.9360369(LV EdgeHD800) = log2 ( 9.92 / T(分) )
T = 187(分)
ゆえにEdgeHD800では、約3倍の露光時間が必要となる。
結論を出すのに勉強も兼ねていたら時間を要してしまったw 次回の撮影では、とりあえず星像の改善として露光時間を約3倍に伸ばして撮影したいと思う。
疲れた〜(T_T)
4 今回の撮影を振り返って
いつもぼっちで撮影をしていてトラブル時は自己解決だったが、今回は仲間のフォローが非常に心強かった〜感謝しています、ありがとうございました〜❗
さぁ、次回の天体撮影もがんばるぞ〜 おぉっ、やっとお腹空いてきた、ごはん食べよっ〜
コメント
9.9² ÷ 5.6² = 3.1253188776
これで疲れは半減出来ますね。
6200万画素もあればBIN2でも6200 ÷ 2² = 1,550万画素有るので
一昔前前のフルサイズCCDより上なので
解像度は十分ですね。
加えて、明るさは4倍(CMOSは若干違うらしい、知らんけど)なのでお勧めです。
私は小さな銀河をクローズアップする以外はBIN 3(明るさ9倍)で撮っています。
BIN 3でも結構解像しています。
A1やA0で印刷するなら6200万画素は生きますが、ブログで表示させるなら
解像度に制限が掛かるし、ピクセル等倍で表示させないなら高解像度のまま撮影するのは
勿体無いと個人的に思っています。
オフアキは撮影位置によってはガイド星に苦労しますので
今はマルチスターガイドで、昔ほど長い焦点距離は不要になってるので
短く軽いガイド鏡でも結構いけますよ。
極軸をポールマスターなどで正確に合わせた方が修正が少なくなって
ガイド精度は上がります。
ASIAIRの極軸合わせは数値は出ますが
数値が示す精度が出てるかどうか鵜呑みに出来ない感じです。
コメントありがとうございます。
非常に参考になりました。やはり、オフアキは難しそうですね・・・ポーラーアライメントもASIAirでできなかったら、最後の手段でポールマスターの使用を考えていました。せっかくなので次回は、ポールマスターを使用して極軸を合わせてみたいと思います。
これからもどうぞよろしくおねがいいたします。