星降る場所を求めて

FWHMEccentricity Script

PixInsightのFWHMeccentricity機能は、天体写真の品質を評価する際に非常に役立つツールです。この機能は、画像内の星の形状を分析し、焦点や追尾精度、光学系の歪みなどを評価するのに使用されます。以下にその主な要素を説明します。


1. FWHM (Full Width at Half Maximum) 半値全幅

  • 概要
    星の明るさのプロファイルを調べ、その明るさが最大値の半分になる点での幅を測定します。単位はピクセルです。
  • 目的
    星の鋭さ(ピントの合い具合)を評価します。数値が小さいほど、星がシャープであることを意味します。
  • 使用例
    ピント合わせや光学系の性能確認。
半値全幅の概念図。このように極大値が1つしかない滑らかな分布の場合、極大値の半値となる位置はx1とx2の2つだけできる。その値の差x1-x2の絶対値が半値全幅(FWHM)である。 天文学辞典より引用

※理想的なFWHM値は、使用する望遠鏡やカメラ、撮影条件に依存しますが、一般的には低いほど良いですし、全体が同じ値で結果が出ることが理想です。しかし、光学の歪み等考慮すると中央から同心円状に広がることが理想でしょうね。

2. Eccentricity (離心率)

  • 概要
    星の形状がどれだけ円形に近いかを評価します。完全な円は0の離心率を持ち、値が大きくなるほど楕円形に近づきます。
  • 目的
    追尾エラーや光学系の歪み、極軸のズレなどを検出します。
  • 数値範囲
    • 0-1の範囲で示され、値が低いほど星が円形であることを示します。
    • PixInsight公式フォーラムでは、「0.45以下が望ましい基準とされています。0.7以上だと卵型、0.46〜0.7は個人の好みの問題であり0.6以下で十分満足できる。」と公開されています。

3. 機能の使い方

対象画像のL画像に対して測定をおこないます。
1 Scriptを使用する前準備
  評価する画像を開いてL画像を抽出します。(今回はWBPPを終えたばかりの画像を使用)

 ・評価したい画像を開きます

PixInsight 1.8.9-3使用

・対象画像からL画像を抽出します

2 Scriptを起動して実行

3 測定結果表示

・測定対象となった星の表示

対象となった星がマークされている
拡大表示
FWHM
離心率

4 結果からわかること
(1)FWHM
   中心から同心円状に広がっており特に問題なさそう。
(2)離心率
   0.4以下であり星の状態は問題なさそう。

※数値が目標値を超えている場合、以下の対策を検討します
 FWHMが大きい場合: ピント調整、気流やシンチレーションの影響を考慮。
 離心率が高い場合: 極軸調整、追尾性能の改善、または光学系の確認。

また、上記の結果を考慮してBlurXTerminatorの適用量を考慮すると面白そうですね。

4. まとめ

 この機能を使うことで、天体写真全体の仕上がりをチェックし、光学系や撮影方法を改善するフィードバックを得ることができます。また、星がどれだけシャープで均一に写っているかを定量的に評価できるため、高品質な天体写真の撮影に役立ちます。

 天体写真は、撮影の準備から画像処理まで一つ一つの工程にこだわることで、素晴らしい結果を得ることができます。PixInsightのFWHMeccentricity機能は、そうしたプロセスの中で特に重要な「品質評価」をサポートしてくれる心強いツールです。ぜひこの機能を活用し、星々の美しさを引き出した写真を撮影してみてください。

 天体撮影は試行錯誤の連続ですが、その分、得られる成果は格別です。小さなステップの積み重ねが、大きな成長と感動につながります。このブログが、みなさんの撮影ライフの一助となれば幸いです。

 次回もまた、天体写真に役立つ情報をお届けします。夜空に輝く星々の下で、素敵な時間を過ごせますように!

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